平成24年 国際理解講演会
 【日程】平成24年6月22日(金)6・7時限

 【対象】
全校生徒

 【講師】森 源太さん (シンガーソングライター) 

  講演の概要
長崎県生まれの33歳。どこかで歌いながら生活してきた。オープニング曲の『大丈夫』は何度も諦めそうになったときに唄った曲。
高校は柔道をするために通う。何かに挑戦することもなく,すぐに諦めてしまう。高3の半分は学校へもほとんど行かない有り様。何の目標も夢も無く,ただ流されるままに大学へ進学する。
下宿先のアパートで,友達の弾く尾崎豊の『15の夜』にあこがれ,音楽の授業が一番嫌いであった「オイ」がギターと出会い夢中になる。
路上ライブを聞いていた男性に,初めて作ったオリジナル曲『僕は唄う』を聞かせたところ「歌もギターもへたくそだが,歌詞が良い。君は何か持っている。ストレートに自分を出して,素直に自分の歌を唄うなら必ず自分の型になる。」と褒められ大喜びする。
プロのシンガーソングライターになるという夢を抱くも,音楽の勉強もしたことのない自分がプロになれるわけはない。しかし,心の中ではもう一人の自分が「後悔するど・・・」とつぶやく。 悩んだ末に「いつか来るであろう夢を諦める日に,自分が納得できるように」と,夢を追うことを決意する。
大学卒業後,東京へ上京。池袋の路上で1年間唄うも,全く見向きもしてもらえず,幾度となく全てを諦めそうになる。「こんままやったらオイはダメになってしまう。何かに挑戦ばしよう。」
「ママチャリ日本一周,路上ライブの旅」に出発。全財産3000円だけを握りしめ,1年7か月をかけ,47都道府県,約8000キロを走破。ほとんど野宿とコンビニ弁当。生活費は全て路上ライブで賄う。
100円,200円,寒いときには缶コーヒー。「工場で寝て行け。」たくさんの人の優しさ,励まし,応援に,今までの自分と180°変わったように思う。
「どうしよう」と考えるだけでなく,「どうにかする」「もう逃げられない」と勇気を振り絞って,一歩を踏み出す。
今は,毎日幸せ。楽しくわくわく過ごしている。(3曲目『桜の頃』)覚悟を決めた途端,自分の唄だけで生活できるようになる
26歳の時,あるNGOのテーマソングを作ったことがきっかけでカンボジアという国と出会う。アンコールワットは有名な観光地だが,物価は日本の1/7。エイズ,人身売買…お金がなくて貧しい人々が大勢いる。30年前のポルポト政権時,国境に埋められた地雷により,今でも1日平均2人が被害に遭っている。手や足を失い農業ができない人々は,路上で物乞いをする生活しかない。そんな境遇で生きる人たちはニコニコ笑いながら強く生活している。
みんなの明るさにひかれて,28歳の時1年間首都プノンペンの路上やスラム街,孤児院や学校,飲食店等で唄いながら生活する。カンボジア地雷除去イベント「ぜろ祭り」を日本全国の仲間たちと共に10月に主催している。
帰国してから,再び,大阪を拠点に全国でライブ活動を再開する。イベントへの出演や学校などでの講演活動を行っている。

  ◆森源太さんのブログより、関連記事です
    2012年6月22日 鷲羽高校のみんな、全国の高校生のみんなへ。
    2012年6月30日 高校生の子からのメッセージ。大人のみなさん、心で読んでみて。

  ◆山陽新聞記事

    2012年6月26日 山陽新聞トピックス

 (生徒の感想)
○カンボジアというと,貧しい人がたくさんいて,危険の多い国だとマイナスのイメージを持っていた。しかし,地雷を踏んだおじさんも親がいない子どもたちでも笑顔で生きていると聞き,カンボジアについて「明るい」という言葉が何度も出てきて,印象ががらりと変わった。海外には関心があまりなかったけれど,外国の人と話してみたいと強く思った。

○カンボジアのイメージが悪いのは行って見たことがないだけであって,とても素晴らしい人々が多くいる国だと知ることができた。カンボジアには苦しくても必死で生きている人がいる。つらい境遇のなかでも明るく笑顔で過ごし,前を向いて歩いていけるようになりたい。

○地雷がまだ埋まっている国があることに驚いた。地雷は人を殺すためではなく,ケガをさせるためだということが現実なのだと思ったら,とても悲しくなった。自分がこうして普通に生活していることは普通ではなく,1日1日をありがたく,自分を支えてくれる人たちに感謝しなければならないと思った。

○私も早く地雷がすべてなくなって,人々が安心して暮らせたらと思った。地雷だけではなく,人身売買やHIVの問題もあって,なかなか解決できるものではないなと感じた。けれど,足を失いながらも笑って明るく生きているおじさんの話を聞いて,恥ずかしく思えた。自分が楽しく生きていこうと決めた瞬間に,そう生きていけると聞き,人生は自分の意志次第なのだと分かった。

○カンボジアの人が笑っている写真を見たことがある。地雷に傷つけられ,大変な日々を過ごしていても笑顔でいるということに一番感動した。私も負けずに自分の生きたい道を進んで,1度きりの人生を楽しく過ごしていきたいと思った。

○テレビで地雷や人身売買のことを少しは知っていたけれど,改めて現状を知るべきであると思った。私たちは恵まれた環境を大切にしていかなければならない。

○心が痛んだ。カンボジアの人々が元気に笑って生きていると聞いたら,自分はなんて幸せ者なのだろう,なのになぜそれに気付けていないのだろうと思った。

○カンボジアの話を聞いて,私たちが生きている岡山,日本がどれだけ平和であるかを思い知らされた。今までの自分は視野が狭かったなと思った。これからは広い世界に目を向けていきたい。

○日本一周したり,カンボジアに行ったりすることで世界が広がっていいなと思った。日本で何の不自由もない生活をしているのに,わがままを言ったり,ぜいたくを言っている自分が恥ずかしくなった。幸せとは何なのだろうと考えた。

○カンボジアの話を聞けて良かった。人生は絶対に楽しいという言葉に感動した。地雷で足をなくしたおじさんの話に,僕の小さい悩みなど本当にささいなことだと思った。明るく元気に過ごすことに気付かされた。

○他国のことは関係ないと思っていたけれど,私にできることはどんな小さなことでも人の役に立てることをしたい。これから私は広い世界に飛び込み,楽しく生きていきたい。

○あきらめるのも頑張るのもすべて自分の意志だと気付いた。無理だと思ってやめてしまうのは簡単だけれど,それを乗り越えた後の気持ちを考えればきっと弱い自分に勝てる気がした。

○自分の感じ方や行動が変わって今の自分があると聞き,僕も考え方を変えていって,違う世界へ飛び出していろんなものを吸収して,将来楽しい人生を歩んでいきたい。

○つらいことがあっても笑っているカンボジアの人たちのように,私も前を向いて歩いていきたい。この先どんな楽しいことがあるのだろうという前向きな気持ちが大切で,今の自分の道を決めるのは他の誰でもなく,自分だけなのだという森さんの言葉が心に響いた。

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