〇令和4年度 第1学期 終業式 式辞「ヨットは人生」

 みなさん、おはようございます。いよいよ1学期も終わりを迎えました。今年度に入ってから今日までを振り返っていかがですか。自分が望んでいたような、または目指していたような学校生活が送れているでしょうか。
 4月の始業式でみなさんにお話した、本年度の本校の目標を覚えているでしょうか。それは「自律」「挑戦」「思いやり」です。「自律」とは自分で考え、判断し、主体的に行動することです。まずは自分の生活を振り返って、毎日の生活習慣はいかがでしょうか。また自分で考えて自分から必要な行動を起こすことができているでしょうか。「挑戦」とはくじけず、あきらめず、目の前のことに前向きに向上心を持って取組むことです。4月から何か新しいことにチャレンジしましたか。また挑戦とは新しいことにトライすることだけではありません。今までできなかったことや、続けてきたことを地道に続けていくことも自分にとってはむしろ難しい挑戦になるかもしれません。「思いやり」とは自分と他人を尊重し、人の気持ちを理解しながら、よりよい環境を作ろうとすることです。友達や家族に対して思いやりを持って接しましたか。自分が落ち込んでいたり、悩んでいたりするとき、周りの人のちょっとした言葉や優しさが身にしみることはみなさんも幾度となく経験したことがあると思います。今度は自分から声をかけてあげてください。
今日はその3つの中で「挑戦」について少し話します。本校にヨット部があるという縁で私は岡山県高等学校体育連盟ヨット専門部の部長をしています。そのため、県総体、それから6月に今年は岡山県の牛窓で開催された中国大会でずっと船に乗って本校の生徒をはじめ高校生がヨットで海の上を走る姿を見ていました。青い空の下、青い海の上を白い帆を張ってヨットを走らせる姿はとても気持ちよさそうでかっこいいと思いました。もちろんそうなるまでには並々ならぬ苦労があったはずです。私はヨットについては素人ですから、見ていてある疑問が生まれました。同じ海で同じ風で、同じ型のヨットで同じスタートラインから同時に出走するのに、どうしてあんなにもみんなばらばらなコースをとるのだろう。そしてどうしてあんなにゴールするまでに差がつくのだろうということです。ヨットはスタートと折り返し地点とゴールは決まっているのですが、その間はどんなコースを進んでもよいそうです。風がなかったらヨットは進みませんから、向かい風の中、又は追い風の中、あるいは横から吹いてくる風を読み取り、一番いいと思う角度に帆を調整し、後は風の力で進んで行きます。向かい風の中をまっすぐには進めないので斜めに切り返しながら進んで行きます。その進み方が右に行く人もあれば左に行く人もいて、同じ風なのにどうして違うのだろうと思いました。上手な人と同じコースをたどれば同じように進むのではないかとも思いました。
 しかし、7レース行い、必ずしも1位だったチームが次も1位とは限りません。スタートしたら監督が声をかけることはできないので、自分で風を読み、進む方向を考えてヨットを操作します。よかれと思った方向がいいこともあれば悪いこともあります。また途中で局所的な風が吹くこともありそのたびに対処になければならないそうです。その操作が練習の成果だということです。
 ヨットのレースを見ていると本当に人生を象徴していると思いました。まず、向こうからやってくる問題や困難という風に立ち向かわなければなりません。それを避けて通ることはできません。まともに受けて、船がひっくり返ることもあります。そのときは自分の力で船を起こすしかありません。しかし、勇気を出して立ち向かい、その困難という風をどのように受けるべきか考えて、それを自分が進む原動力とすることができます。うまくいくときは気持ちいいし、失敗して前へ進まなければ、また考えて一番いいと思うやり方に変えて進まなければなりません。順風満帆で進んでいても、途中で風向きが変わるかもしれません。どんな進路を取るか、人と違う方向へ行ってみるか、みんなと同じ方向へ行って着実にゴールをねらうか、考えて決断しなければなりません。周りの人からアドバイスをもらっても、最終的にはどんな進路を取ろうと自分で考えることと自分で操作することに変わりはありません。また自分の思うように操作するにはそれまでの準備と努力が欠かせません。その覚悟と準備を持って臨むのが本当の挑戦です。さあ、みなさんはこれからどのようなコースを取ろうと思いますか。みなさんの前には無限の海が広がっています。どんなコースでもとれます。試合では順位がつきますが、人生には勝敗はありません。自分の取ったコースの景色を楽しみながらゆっくり進み、自分の決めた目的地に着くことができます。覚悟と準備ができればGoです。これからみなさんの進む方向を楽しみにしています。
 今日はヨットは人生という話をしましたが、どの競技や芸事にも通じることはたくさんあると思います。本校のブログでは1学期だけで87もの記事が載っています。それだけたくさん、みなさんが様々なところで活躍してきたのだと思います。もちろん、記事にならなかった活躍や取組みももっともっとたくさんあるはずです。本校のホームページ、そしてインスタグラムやツイッターでもみなさんの活躍が紹介されているのでまた見てください。また先輩の活躍はWe are making Washu.という動画になってホームページにありますから見てください。
 最後に今日は私からみなさんに夏休みの宿題を1つ出したいと思います。今日、「挑戦」についてお話しました。私の宿題は「日本一短い手紙 一筆啓上賞」というコンテストにみなさん全員に応募してもらうことです。この日本一短い手紙コンテストは福井県坂井市、丸岡文化財団というところが主催です。今年のテーマは「挑戦」です。本校の目標と同じでこれは応募するしかないと思いました。誰かにあてて「挑戦」にまつわる40文字の手紙を書くというものです。たった40文字ですから、返って難しいかもしれません。今まで挑戦してきたこと、今日胸に浮かんだこと、夏休み中に考えたこと、何でもいいので書いてください。本日の終礼で応募用紙を配布します。一人何点でも応募できるので、1枚では足りない人は年次主任に申し出て用紙をもらってください。みなさんが提出したものは全て応募します。自分の「挑戦」を言葉にするよい機会だと思いますのでがんばってみてください。 それではみなさんが充実した、健康で楽しい夏休みを送ることを祈っています。また2学期に元気でお会いしましょう。