〇令和4年度 第2学期終業式 式辞

サッカーワールドカップに見る自律・挑戦・思いやり

令和4年12月23日

 みなさん、おはようございます。とうとう2学期最後の日がやってきました。2学期の始業式では歴史家の磯田道史さんの例から「高校時代にいろんなことにチャレンジするとその中から自分の一番好きなこと、これから先やりたいことにつながるかもしれない」というお話をしましたが、この2学期にみなさんはそのようなものに出会ったでしょうか。先ほどの表彰式で紹介したようにみなさんは様々なことにチャレンジしてくれました。みなさんが受賞した盾は玄関のところのガラスケースに飾っていますのでまた見てください。みなさんへの私からの夏休みの宿題として出した「日本一短い手紙一筆啓上賞:テーマ『挑戦』」のみなさんの作品をすべて応募する前に読ませてもらいました。これから何かやろうとしている自分、またはやりたいけど一歩踏み出せない自分を鼓舞し、叱咤激励する自分宛の手紙がとてもたくさんありました。これからもそのときの気持ちを思い出して様々なことに挑戦してください。

 今日は先日行われたサッカーワールドカップで私が感銘を受けたことについてお話したいと思います。みなさんも手に汗握り興奮しながら見たことでしょう。アルゼンチンが36年ぶりに優勝して膜を閉じましたが、日本チームの活躍には非常に感動し、勇気を得たという人は大変多いと思います。強豪のドイツ、スペインに勝ちました。ここまでの選手やスタッフの技術と精神力を鍛える努力は計り知れないものだと思います。私はその上にもう一つ、感銘を受けたことがあります。それは日本選手たちの語学力がすごいということです。私はもともと英語の教員なので特にそこに目が行きます。試合後、海外のマスコミから英語やスペイン語で質問されて、通訳なしで堂々と答える選手たちの様子をYou Tubeで見て、試合での華麗なプレイに加えて感銘をうけました。

 ワールドカップが始まる前の7月にキャプテン吉田麻也選手のインタビュー記事を新聞で読みました。「僕は英語を勉強したから、サッカーで活躍できたと思っている。サッカーを頑張る、プラス、自分の武器が必要になる。英語ができれば、シンプルに仕事の幅が広がる。代表の若手にも同じ話をしている。スポーツをやっていなくても、語学は人生が豊かになる手助けをしてくれる。言葉ができれば、それだけ多くの人と友達になれる。」と彼は言っています。私が感銘を受けたのは、外国語を自由にしゃべること自体もさることながら、彼らが自分の考えを堂々と世界に向けて発信していることです。吉田選手も「自分の意見を主張するのはすごく大事。ぶつかることで、お互いに尊敬し合える関係になる」と言っています。サッカーをやろうと自分で決意し行動に移すとき、それに伴う困難なことにも逃げないで挑戦し、自分の意見をしっかり持つことで、自分も他の人をも尊重し、人生が開けることを実践して見せてくれたと思います。

 プロのサッカー選手にならなくても、それはまさに本校の目標の「自律・挑戦・思いやり」です。日々の生活の中で自分で考えて決めて行動する、他人や環境のせいにしないというのは案外難しいと思いますが、それが自律です。挑戦については、今年も多くの人が様々なことに挑戦してくれて頼もしく思います。成果が出ても出なくても思い切ってやってみること、勉強、部活動など苦しくても続けることはとても価値あることだと思います。そして思いやりです。挑戦して何かができるようになってもまた何かができないにしても、自分自身を大事にし、他者を思いやることは人として一番大事だと思います。一昨日の竹内昌彦先生の講演のお話からみなさんもそう思ったと思います。全盲の竹内先生は「みなさんが非常に一生懸命聞いてくれて、反応してくれているのが伝わってきました。」と、とても喜ばれていました。少し前、「生徒さんに電車の中で援助してもらいありがたかった。」と目の不自由な方からお礼のお電話がありました。また自転車で転倒した高齢者を助けているのを見た方から「鷲羽高校の生徒さんは優しいですね。」とわざわざお電話がありました。そして今朝も車の事故を見てすぐに行動に移して連絡してくれ人がいます。このような話を聞くと、大変誇らしく嬉しく思います。 2022年ももうすぐ終わろうとしています。2023年も「You Make 鷲羽! 自律 挑戦 思いやり」を心に留めて進んで行きましょう。3学期にまた元気でお会いしましょう。