〇令和5年度 第1学期始業式 式辞

令和5年4月10日 

 皆さん、おはようございます。先ほど新しい先生方を迎え、いよいよ令和5年度が始まりました。新しい年次に進級し、今年はどんな1年になるか、今、胸がわくわくしていることでしょう。
 昨年度はサッカーのワールドカップと野球のワールドベースボールクラシックでの日本チームの選手の活躍についていろいろと話をしました。どちらも若い選手たちが自分の努力の成果を出し切ったプレイでチームを勝利に導いただけでなく、世界に向けて堂々と自分の考えを発信していることは非常にすばらしいということを皆さんと共有しました。
 さて、今日は皆さんに違う視点から世界に目を向けようという話をしたいと思います。皆さんは最近のニュースでG7という言葉を頻繁に耳にすると思います。ではG7が何を意味しているか知っていますか。G7とはGroup of Sevenの略でG7サミットは日本語では主要国首脳会議と言われます。ではG7を構成している7か国がどこの国であるか全部言えますか。これは大人でも正確に言えないかもしれません。答えはフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、そして日本です。最近ではそれにEUも加わって8つの国と地域になっています。以前はロシアが参加していた時期もありました。2023年は日本が議長国となり、今年の5月にG7広島サミットが開催されます。G7サミットでは、エネルギー、食料、世界経済、気候変動、保健、ウクライナなどの地域情勢、核軍縮等、国際社会が直面する地球規模の様々な課題について、議論を深め、未来に向けてのアイデアとプランを提示することになっています。人類初の原子爆弾による壊滅的な被害を受け、そこから復興を遂げた広島において、世界中の人々が平和に、安心して暮らせるようになるための具体的な方策が提示されることを願っています。
 日本が初めてG7の議長国になって東京でG7首脳会議が開催されたのは1979年です。そのとき、私は高校生でした。日本でサミットが開催されることに非常に関心を持ち、新聞の切り抜きをしていました。
 広島で首脳同士が会合するだけでなく、サミット関係閣僚会合として各国からの閣僚、大臣も日本の至る所で会議を持ちます。4月22日、23日には倉敷アイビースクエアで、G7倉敷労働雇用大臣会合が開催されます。倉敷は日本初の労働科学研究機関が設立され、労働と雇用が一体となって、社会の発展につなげてきた歴史があるということで開催地に選ばれました。このG7倉敷労働雇用大臣会合開催を記念したシンポジウムが先月30日に倉敷市民会館で行われ、経済界の様々な方のお話と高校生の発表がありました。本校の食物コース2年生、新3年生の二人が成果発表をしてきました。二人は今から百年近く前、労働者の栄養補給として作られていた「労研饅頭」を現代風にアレンジして「労研おにぎり」を開発しました。その開発にあたって児島地域の食品について探究し、児島産の塩とのりを使ったおにぎりを創作し、成果を発表しました。それは「こじまさんがむすんだ」という名のとてもおいしいおにぎりです。参加した二人は倉敷市長をはじめ、経済界の様々な人々と交流し、その人たちに自分たちの作ったものをアピールすることができました。
 G7サミットは自分には関係ないと思っている人はいませんか。関係大ありです。現在のグローバル化した社会では世界のどこか遠くで起きたことでも私たちの生活に直接影響します。現在、ロシアのウクライナ侵攻の影響で様々な物資の供給が滞り、小麦や油や様々なものの値段が上がっています。もはや自国だけでは生き延びていけません。自分とは意見が異なる他国の人々と考えをすり合わせながら協働していくことがますます重要になっています。
 以上のようにG7主要国首脳会議は政治の世界の話と思えるかもしれませんが、世界の政治はいろんなところで私たちの生活に直結しています。そのことを忘れないで、今起きていること、これから起きようとしていること、過去に起きたことについて関心を持ってほしいと思います。本校では地域と連携した課題解決型探究学習に取り組み、その成果と自分の考えを校内外で発信する機会がたくさんあります。みなさんも情報をキャッチするアンテナと、挑戦しようとする志を高くして、様々なことに興味を持って取り組み、自分の栄養や力にすると共に、広く世の中に自分の考えを発信してください。本年度も目標と合言葉は「You Make 鷲羽!自律、挑戦、思いやり」です。今年も皆さんと共に心がワクワクする有意義で楽しい学校にしていきたいと思います。明日は新1年生も入っていきます。一緒に元気にがんばりましょう。