〇令和4年度 入学式 式辞

式  辞

 やわらかな春の日差しの中で、山の木々の新芽が少しずつ芽吹き、瀬戸内海を渡る風が心地よい今日の佳き日に、岡山県立倉敷鷲羽高等学校第十八期生の入学式を挙行できますことは、私たち教職員一同にとりまして、この上ない喜びであります。
 ただいま、百三十九名の皆さんに入学を許可いたしました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員をはじめ、皆さんの先輩となるすべての在校生が、皆さんの晴れの入学を祝福し、心から歓迎いたします。
 皆さんが、本校に入学できましたのも、一つには皆さん自身の平素からのたゆまぬ努力の成果でありますが、自分の力だけで今日の日が迎えられたのではなく、小学校、中学校の先生方の温かいご指導や、皆さんを慈しみ励ましてくださったご家族や周囲の方々の愛情や助けが、皆さんを支えてくれたことも決して忘れないでください。
 さて、ここ児島の地は今から約四百年前は、一帯に広がる海に点在する島の一つでした。その後、干拓によって一帯が陸続きになり、漁業と塩の生産で栄え、塩に強い綿花の栽培が始まり、繊維産業が発展し、現在へと続いています。この地はいつの時代も世の中を切り拓いていこうとする起業家精神と人々の並々ならぬ努力によって時代の先駆けとなってきました。この児島の地で学ぶ皆さんには、先人の志を受け継ぎ、将来を自らの力で切り開き、様々な形で社会に貢献する人物になってもらいたいと願っています。
 世界に目を向けて見ますと、今までに予想できなかったことがいろいろと起こり、知識や技術だけでは解決できない様々な問題が複雑に絡み合って存在しています。コロナ禍で今まで私たちが当たり前のようにやってきた多くのことができなくなりました。グローバル化した社会では経済も文化も世界中で繋がって発展してきましたが、コロナウイルスをはじめ、気候問題やエネルギー問題、そして悲惨な戦争が勃発し今も続いており、もはや一部の人々や一部の国だけでは到底解決できない問題が山積しています。
 しかし、このように問題が多い社会の中で様々な新しいアイディアが生まれ、今まで考えもつかなかったようなことが可能になっているのも事実です。ICTの発達でどこにいても世界中から瞬時に情報を得たり発信したりすることができます。これからの社会ではAI(人工知能)など最先端の科学技術を利活用しながらも、主体的に考え、責任を持って忍耐強く、異なる考えの人々とも協働していかなければなりません。
 これから本校で学ぶ皆さんに、このような社会の中で豊かに生きて行ってもらうために、本校では次のような目標を立てました。それは「よりよい社会の実現を目指して、自律し、挑戦し、思いやりのある生徒の育成」です。「自律」とは自分で考え、判断し、行動することです。「挑戦」とは物事に前向きに向上心を持って取り組むことです。「思いやり」とは自分と他人を尊重し、よりよい社会の創造に貢献することです。これから始まる教科の勉強はそれらの基礎となる知識や能力のために非常に重要です。それと平行して身近なところから課題を見つけ、他の人と協働して解決する方法を学ぶ探究学習もますます重要になってきます。本校の「児島未来学」では教室内にとどまらず、地域と繋がり、地域の問題解決の方策を自ら考え実行していきます。毎日の少しずつの努力や経験が三年間積み重なり、自分の将来を形成する大きな力となっていきます。
 この三月に皆さんの先輩たちは「鷲羽高校に来てよかったことはいろんな新しいことにチャレンジできる機会があったことだ。勇気を出して挑戦し、失敗しても次の年も挑戦し続けることができた。今の自分の進路が実現したのも挑戦できる様々な機会があったおかげだ。」と言って卒業していきました。「目の前のチャンスに果敢にチャレンジする。失敗してもくじけない。周囲への感謝の気持ちを忘れない。」この気概こそ大切にしたい鷲羽高校の建学の精神です。
 先輩たちの積み上げてきた一つ一つの取組が鷲羽高校を作ってきました。これからは「You Make 鷲羽!」あなた方一人一人が鷲羽高校の大切な一員であり、あなた方の一つ一つの取組が鷲羽高校を作って行きます。その自覚と誇りを持って、これからの授業や学校行事、部活動やボランティア活動等に果敢にチャレンジしてください。
 ご列席の保護者の皆様、お子様のご入学、心からお祝い申し上げます。本日より、お子様を本校でお預かりいたしました上は、すべての教職員がお子様一人一人の成長、進路の達成、自己実現に向けて、誠心誠意、最大限の努力を払う所存でございます。お子様の成長、飛躍のために、保護者の皆様と学校が密に連携していきたいと思います。どうか、本校の教育に対しましてご理解・ご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 本日入学されました新入生の皆さんが今日の初心を忘れることなく、決意を新たに、有意義で充実した高校生活を送られますよう心から願いまして、式辞といたします。

令和四年四月十一日

岡山県立倉敷鷲羽高等学校
  校 長   三 村  直 子

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