〇令和4年度 第3学期始業式 式辞

ベートーヴェン第九「歓びの歌」に願いを込めて

令和5年1月10日

 みなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。みなさんは冬休み、どのように過ごしたでしょうか。久々に親戚の人々にあった人、お節料理を作った人、ひたすら箱根駅伝をテレビで見た人、猛勉強した人、部活動を頑張った人、いろいろだと思います。
 今日は私がこの冬休みの間に感動したことをお話したいと思います。それは第九です。今では日本の年末の風物詩にもなっている第九を聞きました。第九とは音楽選択者の人は授業で習っていましたが、ベートーヴェンの第九番目の交響曲で、楽器だけでなく、合唱も入っている素晴らしい交響曲です。合唱の部分は「歓びの歌」というタイトルがついています。みなさんも聞いたことがあると思います。
 私が感動したのは「一万人の第九」です。みなさんは「一万人の第九」というのを聞いたことがありますか。大阪城ホールに1万人が集い、この第九の「歓びの歌」を歌うプロジェクトで、今年で40年目になるそうです。その演奏をテレビで見ました。コロナ禍により1万人も集まれなくなったので、会場とオンラインでの映像の参加もありました。この日に備えてプロもアマチュアも、大人も子供も学生もまた世界各国から一般市民が練習して参加していました。1万人の人が声を合わせるその合唱は圧巻です。それではクライマックスのところだけ観てください。

「歓びの歌」の動画

 いかがですか。聞いたことがあるでしょう。指揮者は佐渡裕さんです。佐渡さんによれば、ベートーヴェンがこの交響曲を作った当時、ヨーロッパは戦争が続き、疫病がはびこり、階級間の分断も激しかったそうです。その様相は今の世界と似ています。ベートーヴェンは「現実はこんな世の中だから、そうであってはならない。分断された人々も楽しく一緒に歌うことで、喜びを分かち合おうではないか。理想の実現に向け、手を取り合おう。」と呼びかけていると言われています。佐渡さんはこの歌のように人類愛を世界中の人に届けて、世界中に本当の平和が訪れることを望んでいると言っています。そして音楽活動を通して国連のウクライナ緊急事態の支援も行っています。

 私たちの多くが、暖かい部屋でゆっくりとテレビを見ながらお正月を楽しんでいるときも、世界のいたるところで、戦火に怯えたり、過酷な状況に苦しんだりしている人がたくさんいます。また、医療従事者の方々をはじめ、年末年始に関係なく、働いてくださっている方々のおかげで、私たちの生活が成り立っています。時々はニュースを見たり、読んだりしてそのことに思いをはせてください。そうやってアンテナを高くして世の中のことを知り、自分のそして社会の幸せのために、今、自分は何をすべきか、これからできることは何かを考えてみてください。音楽によって救われる人がいるように、みなさんの小さな行動が周りの人々によい影響を与えるかもしれません。たとえば、周りの人に笑顔で挨拶する、勉強や部活動で一生懸命な姿を見せる、自分の得意な分野で働く、など。みなさんのそのような小さな行動から、みなさんの人生が形成されるとともに、社会が形成されていくのです。3学期も、「You Make 鷲羽!自律、挑戦、思いやり」を目標に頑張りましょう。そして3月に自分のベストを尽くした有意義な1年だったなと思ってこの年度を締めくくることができるようにしましょう。